2011-03-17 10:50:21 初出

インドの聖者の語った

「西洋は自然を征服する用意がある。

 東洋は自然に征服される用意がある。」

という言葉が今回の震災を通して強く刻まれた。


日本という国は「東洋」の中にありながらも「西洋」的であり

戦後は特に「自然を征服する」がごとき立場をとっていた。

毎年、何らかの自然災害に見舞われながらも

遅かれ早かれ自然を人の手ですべて管理するくらいの

想いとそれを実現させようとする意気込みがあった。

だが、今回の震災ではその想いを嘲笑うかの如く

予測を超える自然の猛威に直面することになった。


そんな中、津波で家財のすべてを失った方が語っていた。

「将来、今以上の津波に襲われるとしても

 私や私の子供たちがこの土地を離れることはない。」

なんとなくだが今まで漠然としていた

「自然に征服される用意」の意味が少しわかった気がした。


過去に何度もすべてが流されるような津波にあいながら

その土地を捨てることなく住み続ける人々。

いずれまた同じことが起きたとしてもそれはそれ・・・

という覚悟にも似た思いが根付いた人たちだからこそ

「この土地を離れない」と言い切れるのだと思う。

それが「征服される用意」の一端なのだと感じた。


そう思えたとき、私を含めてどれだけの人が

「征服される用意」ができているのだろうかとふと思った。

震災後、ネットでの様々な書き込みを目にしてきた。

中には「秘密結社の陰謀」だとか「天罰」だとか

何かのせいにしようとする書き込みも多く見られた。

真偽の程は定かではないし、それを確かめるすべも私には無い。

だが、現実は目の前にある。


誰かのせいにして嘆き・悲しみ・憤るより

目の前の現実を受け止め自分に今できることを少しずつでも

やっていくことが今は大切だと感じている。